ローカライズ戦略

グローバルマーケティングの成功に、ローカライゼーションが欠かせない理由

なぜグローバルマーケティング戦略の立案時にローカライズを重視することで、キャンペーンの成功につながり、競合他社にはない独自の強みを生み出せるのか。その理由をご紹介します。
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なぜグローバルマーケティング戦略の立案時にローカライズを重視することで、キャンペーンの成功につながり、競合他社にはない独自の強みを生み出せるのか。その理由をご紹介します。

私たちは今、情報技術(IT)の時代を生きています。ITによって世界中の距離はかつてないほどに縮まっています。グローバル化に伴い、企業の国外進出が珍しくなくなるなか、世界中の経営者たちはグローバルマーケティングを最重要課題として位置づけ始めています。

グローバルなマーケティング活動では、複数の言語や市場で同時にインパクトを与える方法をいかに見出すかが、競争の激しい今日の市場で差別化を図り、成功を導くための大きな力となります。

そこでポイントとなるのがローカライゼーションです。ローカライゼーションによって、グローバルマーケティング戦略を強化し、国際市場で優位に立つにはどうすればよいか。その方法をご紹介します。

グローバルマーケティングとは?

グローバルマーケティングとは、世界規模で顧客を発見し、顧客を引きつけ、顧客の満足度を高めるための一連の活動のことです。グローバルマーケティングには、複数の国でビジネスを行うための包括的なアプローチが含まれます。つまり、組織の目標を達成し、それを上回る成果をあげ、グローバルでの持続的な成長を実現するための総合戦略の一環として位置付けられます。

グローバルにビジネスを展開する場合、参入する市場に合わせて次のような点を調整する必要があります。

  • 製品・サービスのラインナップ:地域や市場によって異なる顧客ニーズに対応するため、製品やサービスのカスタマイズが必要になることがあります。
  • メッセージ:地域別の好みや習慣、経済情勢や社会動向などに合わせたコンテンツ等を用意することが重要です。
  • チャネル:ソーシャルメディアなどを使った顧客へのアプローチ方法の調整や、製品やサービスをスムーズに展開・販売するための現地パートナーとの提携などが求められます。
  • 価格体系:製品やサービスをグローバル展開する際には、価格設定が極めて重要になります。最適な価格設定には技術と経験が必要です。
  • ビジネスモデル:国・地域ごとの規則や税制などに対応する必要があります。

現地の言語や文化的な好みに合わせて、ブランド名を変えている企業もあります。たとえば、米国のポテトチップス「Lay’s」は、世界の地域ごとに「Walkers」「Sabritas」「Smiths」「Margarita」といった異なる商品名をつけており、各地の人気フードの味を反映したフレーバーを展開しています。

グローバルマーケティング戦略立案のポイント

グローバルマーケティング戦略とは、国際市場において企業ブランドのポジションをどう獲得するかを考えることです。グローバル市場で競うためのあらゆる方策が対象になります。

成功するグローバルマーケティング戦略を立案するには、社内各部門の意見を取り入れるとともに、進出する市場ごとに、以下のような点を考慮したきめ細かいアプローチが必要になります。

  • 提案する価値:そのブランドならではの特徴は何か?なぜ消費者はそれに関心を持ち、競合他社のものではなく、その製品やサービスを購入すべきなのか?
  • 対象者:どのような顧客を対象とするのか?理想的なターゲット層は?その顧客層に対して、どのように競合他社との差別化を図ればよいか?
  • 成功の条件:どのような状態になれば、その市場の消費者がブランドに親近感を持ち、競合他社ではなく自分たちを選んでもらえるようになるのか?
  • ビジネスモデル:その市場において効果的なブランドを構築方法は?その地域の経済情勢や規制を踏まえて、どのように収益を上げていけばよいか?
  • 製品・サービス:その市場においてアピールしていくべき製品やサービスは何か?それをどのように現地のニーズや文化に適応させていくか?
  • マーケティングミックス:対象となる顧客にリーチし、コミュニケーションを図って、販売に結びつけるには、どのような戦術が効果的か?計画している活動やキャンペーンの内容と費用の目安は?消費者の心の中にブランドをどう位置づけたいのか?
  • リソース:グローバルマーケティング戦略を実行するには、資金・人員的にどの程度の投資が必要か?ブランド価値を世界的に高めるためには、どのような組織体制、プロセス、テクノロジーを採用すればよいか?
  • ローカル要因:その地域のどのような文化・経済・政治的要素が、ブランド戦略の成功に影響を与えるか?戦略を地域環境にどう適応させていくのか?現地で共感を得られるメッセージやテーマは何か?

グローバルマーケティングでは、いかに現地の人々に響くキャンペーンを設計・展開できるかが、成功を左右する大きな要素となります。それを実現するためのアプローチが「ローカライゼーション」です。

グローバルマーケティングにおけるローカライゼーションの重要性

ローカライゼーションとは、グローバルマーケティング施策のあらゆる要素を対象市場に適応させるプロセスです。つまり、対象地域の顧客ニーズや関心、背景をマーケティング活動に反映させることを言います。

ローカライゼーションでは、単にキャンペーンの内容を各国語に翻訳するだけでなく、社会的な価値観、経済や世の中の動向、テクノロジー、法律といった地域ごとの違いを理解する必要があります。

ブランドが新しい市場に参入する際に、その地域を理解していることが顧客に伝わると、好感を持ってもらえる可能性が高くなることが、複数の調査で示されています。

たとえば、「2021 Hispanic Digital Fact Pack」は、新型コロナウイルス禍による景気後退の影響を受けながらも、再び成長を続ける米国のヒスパニック系消費者市場について、微妙な差異や意識、習慣などを分析した調査です。

その報告書によると、企業が時間をかけてヒスパニック系の消費者にとって何が本当に重要なのかを理解し、文化的要素をコミュニケーションに取り入れることで、ヒスパニック系消費者の71%がそのブランドに好感を持ち、製品を購入したいと考えるようになるとしています。

グローバルマーケティングにおけるローカライゼーションの最初のステップ

理想的には、グローバルマーケティングプランのすべて、つまり、ウェブサイトのランディングページのデザインから、コミュニケーション、キャンペーン、製品提供に至るまで、あらゆる要素をローカライズすることが望まれます。ローンチイベントや広告キャンペーンを実施する際の物理的な環境も重要になります。

そのための最初のステップは、対象地域の消費者に何が最も大きな影響を与えるのかを考えることです。その市場で違いを生み、成長を促進させる具体的な要素は何でしょうか?

それを発見するための出発点となるのが、マーケティングミックスです。マーケティングミックスとは、製品やサービスのマーケティング・販売、ブランド構築に必要な「マーケティングの4P」と呼ばれる要素をまとめたものです。その要素は以下の通りです。

  • 製品(Product):製品・サービスのローカライズとは、現地の状況に合わせて製品やサービスを調整することです。たとえば、カリブ海地域でデジタルカメラを販売したいエレクトロニクス企業が、現地の消費者に適した製品にするために、水中モードの機能を追加するといったことです。
  • 価格(Price):価格のローカライズには、単なる通貨の変換だけでなく、構造的な価格調整も含まれます。たとえば、コストの高い市場では価格を上げ、消費者に経済的な余裕がない市場では価格を下げるといった施策です。
  • 場所(Place):グローバルマーケティングでは、対象地域における流通チャネル、小売店の場所、ウェブ展開の方法などを検討する必要があります。たとえば、美容製品メーカーは、現地パートナーと提携することで、現地で人気の美容室チェーンやネット通販を通じた販売が可能になるかもしれません。
  • プロモーション(Promotion):従来型のチャネルとオンラインチャネルの両方で、マーケティングコミュニケーションをローカライズする必要があります。ウェブサイトやソーシャルメディア、広告キャンペーン、広報活動など、さまざまなチャネルを活用できます。単に言語を変換しただけの広告から、現地の行事に合わせてタインミングを調整したキャンペーンまで、さまざまなレベルでのローカライゼーションが考えられます。

トランスクリエーションとは?

最近のグローバルマーケティングに精通している方なら、「トランスクリエーション」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。トランスクリエーションとは何か? ローカライゼーションとの違いは? なぜそれがグローバルマーケティングに重要なのか? といった疑問に答えるために、トランスクリエーションについて少し説明したいと思います。

ローカライゼーションは、言語や文章コンテンツだけでなく、ビジュアル、ユーザーエクスペリエンス(UX)、価格戦略なども含めた、幅広い要素を対象とした施策を指す用語です。

一方、トランスクリエーションは、基本的に文章を主としたコンテンツを対象としています。トランスクリエーションとは、「翻訳(トランスレーション)」と「創造(クリエーション)」からなる造語で、対象となる文化やオーディエンスに合わせて文章を書き換えることを指します。

トランスクリエーションが力を発揮するのは、コンテンツの中でもとくにクリエイティブな要素を現地文化に適応させる必要があるときです。具体的には、スローガン、タグライン、ジョーク、シンボル、ストーリーテリング、ときには絵文字なども、地域の文化に合わせてアレンジします。

たとえば、日本では赤ちゃんに関するストーリーとして、西洋で有名なコウノトリが運んで来たという話よりも、川を流れてきた大きな桃の中から生まれた、という昔話の方が広く知られています。

このことから、日本での売上拡大を目指す英国のおむつメーカーは、コウノトリよりも桃太郎の話を使ったマーケティングを行うことで、成果を挙げられるかもしれません。つまり、現地に適したストーリーへとトランスクリエーションすることで、その地域ならではの広告キャンペーンを展開できるのです。

歴史に残るグローバルマーケティングの成功例と失敗例

過去には、効果的なローカライズにより成功したキャンペーンもあれば、それを怠ったために失敗したキャンペーンもありました。その両方を分析することで、適切なグローバルマーケティング施策のヒントが得られるはずです。では、実際にいくつかの例を見てみましょう。

成功例:メルセデス・ベンツ

1926年に世界最古の自動車メーカー2社であるダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(DMG)社とベンツ(Benz & Cie)社が合併して誕生したのが、ダイムラー・ベンツ社です。

合併前の両社の設立者であるゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツは1880年代から自動車の設計・販売に携わっており、レース好きの実業家エミール・イェリネックがDMG車の最大のディーラーとして活躍していました。

ダイムラーの死後、イェリネックは娘の名前にちなんで新しい車を命名。それが1900年の「メルセデス35hp」です。

1925年に「メルセデス・ベンツ」は商標登録されました。その後、ダイムラー・ベンツという社名は維持しながらも、車名にはメルセデス・ベンツの名を冠するようになったのです。この名称を考案した理由について、イェリネックは、いかにもドイツ語的な「ダイムラー」という名では国外市場では売れないと考えたと言われます。この優れたローカライゼーション戦略は、約1世紀経った今でも多くのことを教えてくれます。

失敗例:BMW

BMWが2016年にアラブ首長国連邦で、同国の国歌を使用したCMを放映したところ、現地の人々から抗議が寄せられ、CMは放映中止に追い込まれました

そのCMは、国歌を斉唱していた地元のサッカーチームの選手たちが途中で歌うのをやめ、スタジアムの外にあるBMWの車に向かって駆け出すという内容でした。

現地では「国歌よりも車の方が重要だと言わんばかりの内容で、国歌を冒とくしている」という抗議が巻き起こりました。

その後、BMWはCMの放映を中止し、歌を差し替える再編集を行いました。

現地の事情を深く理解し、文化を尊重した宣伝方法が採られていたなら、このような失敗を避けられたかもしれません。CMの撮り直しという無駄な出費も必要なかったことでしょう。

成功例:コカ・コーラ

コカ・コーラ社が2011年に実施した「Share a Coke」キャンペーンは、空前の成功を収めたグローバルマーケティングと言っても過言ではないでしょう。

コーラの缶やボトルに人の名前を記すというシンプルかつ画期的なアイデアから生まれた米国発のこのキャンペーンにより、同社は消費者との感情的なつながりを生み出そうと考えました。

実際にキャンペーンは人々の感情を動かし、コカ・コーラは世界中の消費者の認知度とエンゲージメントを大きく高め、売上も急上昇しました。たとえば、人口2300万人のある国では、その夏、2億5000万本以上の名前入りボトル・缶が売れたといいます。

このキャンペーンを70か国以上でグローバル展開するにあたり、各国のマーケティングチームは、ボトルや缶をパーソナライズするという基本的なコンセプトさえ保っていれば、独自のアレンジを行うことが許されていました。表示される名前をローカライズして、世界中の人々に親近感を持ってもらえるようにするためです。

このローカライズ戦略により、地域とのつながりが深まり、消費者のエンゲージメントが高まりました。ローカルな雰囲気と一貫性のあるコアメッセージを両立させたこのキャンペーンは、小さな町から大都市まで、あらゆる市場で大成功を収めました。

もし適切なローカライゼーション戦略がなく、大規模なグローバルキャンペーンが失敗に終わっていたなら、数百万ドルが無駄になったことでしょう。

失敗例:ドルチェ&ガッバーナ

2018年に中国で放映された、中国の人々をステレオタイプ的な見方で表現したドルチェ&ガッバーナの短編動画広告シリーズに対し、大きな反発が巻き起こりました。

物議を醸したその動画広告は、ドルチェ&ガッバーナの豪華なドレスを着た中国人モデルが箸でピザを食べようとするのに対し、男性ナレーションが上から目線で食べ方を正すという内容でした。

広告には中国の人々から激しい抗議が寄せられました。中国のソーシャルメディア、ウェイボーには「露骨な人種差別だ」とのコメントが投稿され、 ブランドのボイコットの呼びかけも起こりました。

世界の高級品市場の3分の1を中国の消費者が占めるなか、ドルチェ&ガッバーナはこの広告によって大きな機会を逃したと言えるでしょう。文化的な感受性に配慮したローカライゼーション戦略があれば、このような失敗は回避できたはずです。

成功例:アブソルート

米国で文化的先駆者としての地位を固めているグローバルブランドAbsolut Vodka(アブソルート ウオッカ)による#SexResponsiblyキャンペーンも優れた事例です。米国では68秒に1件の性的暴行が発生(レイプ・虐待・近親相姦に関する全米ネットワークの報告より)しており、アルコール摂取がその要因に挙げられたり、言い逃れに使われたりするケースがしばしば見られます。この問題に対処するために、同社は上記のキャンペーンを実施しました。

具体的には、2020年のバレンタインデーに、アブソルート社とペルノ・リカールUSA社が、責任ある飲酒と同意に基づく性行為に対する人々の認識を変えるために「Drink Responsibly #SexResponsibly(責任ある飲酒、責任あるセックス)」と題したキャンペーンを展開しました。

このキャンペーンは米国内の問題に焦点を合わせることで、成功を収めました。つまり、性的暴行に関するニュースが国内メディアで大きく取り上げられていたタイミングで、キャンペーンを実施したのです。タイミングが適切でなければ、ブランドの認知度や市場での影響力もそれほどまでには高まらなかったでしょう。

これらの事例から、ブランドアイデンティティとコアバリューを維持しながら、地域の実情に合わせたマーケティングメッセージを作成することが、グローバル企業にとって極めて重要だとわかります。その結果、各市場において、ブランドの認知度や好感度が上がり、売り上げが増加して、顧客とのより深いつながりが得られるのです。

グローバルマーケティングプロジェクトが失敗する理由

先ほど挙げたグローバルマーケティングの事例からもわかるように、一般的にプロジェクトが失敗する要因は次のように整理できます。

現地リサーチが不十分

グローバルマーケティングのよくある失敗理由のひとつは、グローバルキャンペーンを企画する際に十分な調査や分析が行われていないことです。

具体的には、キャンペーンプロジェクトの計画に、消費者からの意見収集が組み込まれていないケースがあります。つまり、市場に合わせたメッセージのローカライズの検討に、十分な時間がかけられていないのです。

市場や消費者の分析をしなければ、現地の人々の動機やニーズを十分に把握できず、結果として文化的なつながりを欠いた、ぱっとしないキャンペーンに終わってしまうでしょう。

実情に合わない誇大広告

実際のビジネスに即さない、話題作り先行のキャンペーンに陥ってしまうこともあります。製品にグローバルなユーザーにアピールできる特徴がなかったり、キャンペーンをローカライズするリソースや時間が十分でなかったりする場合に、そのような施策に頼りがちです。

誇大宣伝や押し付けがましいアピールは、多大なコストをかけたわりに、結果として一時的な売上増にしかつながらない場合がよくあります。長期的な結果をもたらす、本当の意味でのプロジェクトの成功は、明確な戦略を時間をかけて着実に実行してはじめて生まれるものです。

明確な目的がない

他のマーケティング活動と同じく、グローバルキャンペーンも、明確な目標と、それを達成するための計画がなければ成功しません。

たとえば、ある企業が複数の市場でブランド認知度を高めるために、グローバルマーケティングキャンペーンを展開するとします。その際、キャンペーンが見込み客の心を捉えるユニークで説得力のあるものでなければ、ブランド認知度や市場シェアは高まりません。本当の意味で会社の収益に貢献するよう設計された取り組みでなければ、単なる「マーケティングのためのマーケティング」に終わってしまうでしょう。

ツールやプロセスが適切でない

グローバルマーケティングキャンペーンを成功させるには、目的に沿ったツールやリソースを利用することが重要です。

国を横断するマーケティングキャンペーンは、企業にとって極めて複雑なタスクであるため、成功を確実にするには、適切なプロセス、テクノロジー、インフラを確保する必要があるのです。

たとえば、マーケティングコンテンツの翻訳を、Excelシートや多数のメールのやり取りといった手作業で行っていると、業務の質とスピードが低下し、やり直し作業が生じるたびに、無駄なコストと時間がかかってしまいます。ローカライゼーション分野のベストプラクティスを取り入れることで、プロセスを合理化し、非効率性を解消できるでしょう。

戦略を現地と共有できていない

キャンペーン目的やグローバルブランド戦略が現地に正しく伝わっていないことが、グローバルマーケティングの失敗につながるケースがあります。

たとえば、製品の使いやすさに重点を置くというグローバルブランド戦略がありながら、現地の担当者は製品価格を重視しているとすると、戦略の整合性が崩れ、キャンペーンの失敗につながる恐れがあります。

このような事態を避けるために、グローバルマーケティング担当者は、ブランド戦略がどの層にも明確に伝わるように努める必要があります。

いくらグローバルマーケティング担当者が分析や調査を行い、適切なメッセージを作成して、優れたロードマップを計画していても、現地のチームにそれが伝わっていなければ意味がありません。戦略を明確に伝え、整合性を確保することが大切です。

ローカライゼーションを組み入れたグローバルマーケティング計画の実行

ローカライゼーションをマーケティング計画の中心に据えることで、世界中の消費者に好感を持ってもらえるチャンスが生まれます。この計画の実行に役立つステップを以下に紹介します。

チームの教育

時間をかけて社内の各部門に、ローカライゼーションの重要性と、会社の全体的な目標との関連性を理解してもらうことが大切です。

グローバルローカライゼーション計画の作成

マーケティングコンテンツ、ランディングページ、ウェブサイトのコピーといった重要文書の翻訳から、翻訳者の管理、ツールの技術要件の見極め、複数言語ウェブサイトの開発・保守まで、キャンペーンのすべての側面をカバーする計画を策定しましょう。

ローカライゼーション施策の一元化

CMO(最高マーケティング責任者)らグローバルマーケティング計画に直接関与している上級管理職に対して報告を行う担当者/チームを一本化すると良いでしょう。これにより、グローバルローカライゼーションの計画から実行、キャンペーン後の評価まで、関係部門間で一貫したアプローチを採れます。

「適合性」スコアカードの作成

実施するグローバルマーケティングキャンペーンごとに、個々の要素についてローカライゼーションの適合性を評価する「適合性」スコアカードを作成します。スコアカードの精度を確保し、結果を有効活用してもらうために、ローカライゼーション部門にも関わってもらうと良いでしょう。

フィードバックの評価・収集

定期的な顧客インタビューや、収集したフィードバックをもとにキャンペーン要素を調整することで、各市場でのローカライゼーションの効果を最大化できます。うまくいったこと、うまくいかなかったことの両方について、キャンペーン後に定期的な評価を行い、得た知見を将来のキャンペーンに応用できるようにします。

テクノロジーへの投資

テクノロジーを最大限に活用しましょう。ローカライゼーションツールから堅牢なインフラまで、テクノロジーはプロセスを合理化し、最終的に時間、労力、資金の節約につながります。

ローカライゼーションのプロセスを一括で管理できる翻訳管理システム(TMS)の導入を検討しましょう。TMSは、プロセスの一元化と標準化、用語集の作成と管理、効率的なワークフローによるコスト削減、包括的なレポート機能によるパフォーマンスの監視など、さまざまな便利な機能でローカライゼーションプロジェクトの管理に役立ちます。

テクノロジーがグローバルマーケティングに欠かせない要素になるなか、翻訳管理システムは効果的なローカライゼーション施策に不可欠な役割を果たすようになっています。テクノロジーによるサポート体制を整えて、ローカライゼーションを取り入れたグローバルマーケティングに取り組むことで、世界市場での成功に近づけるでしょう。

成功するグローバルマーケティング戦略の極意はローカライゼーションにあり

グローバルマーケティングで大事なのは「ローカル」です。最初からローカライゼーションの考え方を取り入れ、適切なテクノロジーを活用して適切な人々と適切なプロセスを結び付けることで、成功するグローバルマーケティング戦略が生まれます。

このような確固たる基盤をもとにグローバルマーケティングを行うことで、世界中の顧客の共感を呼び、製品の購入を促すキャンペーンを効果的に実施できるでしょう。それは長期的なグローバル収益の増加にもつながっていくはずです。